第3弾!! パソコンの「基礎の基礎」

(2000/05/21作成)



1.はじめに
日頃、何気なく使っているパソコンですが、パソコンとは、一体何者なのか、
その基本的な知識を見直してみたら、今後の活用がさらに楽しくなるかもね!


2.コンピュータの誕生
 そもそも、「コンピュータ」とは計算を早くするために考え出された道具(計算機)なのです。そういう意味では「そろばん」は、電子式ではありませんが、「日本式計算機の第1号」といえるでしょう。

 また、17世紀にはスコットランドで、計算機の原型ともいえる、数字を書き込んだ「骨木」を組み合わせて計算する道具が作られています。(有名なナピアの骨木です)

 さらに後には、「歯車式の卓上機械式計算機」が発明されましたが、人間の頭脳よりはかなり早く演算できるものの、「記憶」したり、「装置」をコントロールする機能といった意味では、人間の能力には、はるかに劣っています。その後、「手動式」から「電動式」に改良されましたが、「記憶やコントロールの機能」は持っていませんでした。

 初めて、「記憶やコントロールの機能」を持った計算機を考えたのはイギリス人のベバッジという人ですが、完成はしませんでした。

 今でいう、コンピュータの第1号は、1946年、アメリカのペンシルバニア大学で発明されたENIAC(Electronic Numerical Intergrator And Calculator)です。しかし、これは真空管を1万8800本も使った「電子式計算機」で、大きさは約100平方メートル(畳で約60畳)もありました。

 近年、「トランジスタ」の発明、さらに「IC」(集積回路)が作られ「LSI」が使われるよになって、真空管式のコンピュータに比べて「4分の1」にまで、小型化出来るようになり、その演算能力の早さは、真空管式の「1億倍」にまで達しました。(真空管式コンピュータで、4ヶ月もかかる計算が、LSI型コンピュータでは約1秒で出来てしまう)

 では、現在のパソコンはこのコンピュータをさらに小型化して生まれたのかというと、そうとは言い切れないのです。では・・・?

 実は、「電卓の進化型」なのです!!機械式計算機は、LSIやICの出現により、急激に小型化され、計算時間も大幅に短縮された結果、「電子式卓上計算機」として生まれ変わりました。そして、日本の各電卓メーカーはさらなる性能アップを求め、アメリカのカリフォルニア州(シリコンバレー)に出かけて行き、新製品の以来をしたのです。その結果「複数のICを組み合わせたLSI」が完成し、電卓はさらに小型化し、高性能なものになりました。

 そして、日本の電卓メーカーは、電卓用LSIにいろいろな機能を要求しまし、シリコンバレーのLSIメーカーは、次から次ぎへと来る日本メーカーの注文に対して、さまざまなLSIを片っ端から作り、その要求に答えました。

 そのような情勢の中で、あるLSIメーカーは、製造コストを下げるために、複雑な専用LSIの開発をやめて、標準化したひとつのロジック素子(演算機能のある一体型電子回路)を開発したのです。その結果、電卓メーカーは、機能の異なる電卓を作るためには、そのための「プログラム」を作ればよくなったのです。

 そのLSIメーカーとは、「インテル社」のことであり、その「ロジック素子」が現在の「パソコン」の原型である「マイコン」のもととなった、「CPU:4004(MCS−4)」なのです。(1971年)

 この、「マイコン」の誕生には、日本の電卓メーカーが、少なからず関与していた(日本人のヒントによりマイコンが誕生した)わけですが、「CPU:4004」は、スピード、構造、割り込みがない、処理ビット数の面から、とてもコンピュータと呼べるモノではなかったのです。その後、インテル社は、8ビット・マイコンの最初のものとして、「CPU:8080(MCS−8)」を発表しました。(これも、処理スピード等の機能では、まだまだ、満足できるモノではなかったのです。)

 そして、1974年に、1970年代後半の主流の一つともいえる「8080CPU」を開発したのです。これは、「MCS−8」と比べ、機能は飛躍的に向上しました。

 この、「電卓技術の延長線」の中で生まれた、インテル社のマイコン(CPU)に対して、「コンピュータを小型化する努力」の中で生まれたマイコン(CPU)が、「モトローラ社」が開発した同じ8ビット・マイコンである「6800CPU」です。

 1978年当時、8080系、6800系の他に、ザイログ社が8080CPUの機能向上+周辺LSIをも、ひとつのチップ上に集積化した、「Z−80]とうい高級チップを発表し、マイコン界を「あっ」と言わせました。

 産業用の専門であったマイコンはどんなに安くても「数百万円」はしたのですが、「ワンチップ・コンピュータ」がマイコンの仲間入りをしたことによって、1980年代に入り、ホビーの分野にも急激に進出し、個人でも所有するようになり、マイコンが個人ユーザへと普及し、現在の「パソコン」に進化してきたのです。


3.基礎用語解説
2進数と16進数 「0」と「1」。コンピュータ自身が唯一理解できる言葉です。

★なぜ、「0」と「1」なのか?それは、電気で動いているからです。「0」と「1」とは、「ある」か「ない」かということです。つまり、電気が流れたら、ある=1、流れなかったら、ない=0、ということなのです。

☆コンピュータには、「だいたい」とか、「中間」とか、そういった判断は根本的にはできません。できるとすれば、プログラム上の話です。ですから、「0」と「1」の2進数がコンピュータの基礎になるわけです。(コンピュータの持つ基本的な性能を示す数字のほとんどが「2」の乗数で表せます。)

★ここで、問題があります。コンピュータに理解できる2進数は、それを扱う人間には,とても扱い辛いものです。そこで登場するのが16進数です。16とは「2×2×2×2」(2の4乗)です。

10進数 2進数 16進数 10進数 2進数 16進数
000 00000000 00 016 00010000 10
001 00000001 01 017 00010001 11
002 00000010 02 018 00010010 12
003 00000011 03 019 00010011 13
004 00000100 04 020 00010100 14
005 00000101 05
006 00000110 06 32 00100000 20
007 00000111 07
008 00001000 08 64 01000000 40
009 00001001 09
010 00001010 0A 128 10000000 80
011 00001011 0B
012 00001100 0C 253 11111011 FD
013 00001101 0D 254 11111110 FE
014 00001110 0E 255 11111111 FF
015 00001111 0F 256 100000000 100

☆上の表からわかる様に、10進数に対して、2進数は2の乗数ごとに桁が上がり、16進数は16の倍数で桁が上がります。


ビットとバイト
(ワード)
(OS)
★パソコンに関する単位でよく目にする、「16」「32」「64」「128」とは、すべて2進数の桁の区切りであることがわかります。

☆2進数の桁数のことを「ビット」と呼びます。1ビットとは2進数の1桁の値を示し、1ビットで表現できる数は「0」か「1」の2通りということになります。4ビット=(0000)2〜(1111)2、とは0〜63までの64通りを表現できます。また、8ビット=(00000000)2〜(11111111)2では、0〜255までの256通りが表現できるということです。

★では、16ビットは?・・・2進数の16桁までで表現できる数字です。
1ビットごとに、2進数の桁が1つ上がり、2進数で1桁上がるということは、乗数が1上がるということであると、先ほど説明しましたよね?ですから2の16乗です。よって10進数に直すと、
2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=65536
となり、0〜65535までの65536通りを表現できる大きさということになります。

☆パソコンの世界では、(255)10=(11111111)2=(FF)16を一区切りとしています。これが「1バイト」です。

1バイト=8ビットです。正確には、「1バイトは8ビットで表現できる」と言った方が正しいでしょうね。

☆コンピュータには8ビットパソコンとか、16ビットパソコンなどと呼ばれるものがありますが、これは何でしょうか?

★コンピュータはそれぞれの種類で、扱えるビットの基本単位(ワード)が決まっています。8ビットパソコンとは、8ビットを1ワードとして扱えるパソコンのことで、16ビットパソコンとは、16ビットを1ワードとして扱えるパソコンということになます。

☆では、8ビットパソコンと、16ビットパソコンとでは、何が違うのか?
8ビットでは256通りを表現できますから、256個の異なった基本命令を理解でき、16ビットでは65536個の異なった基本命令が理解できるということです。

★人間の言葉でいうと、アルファベットは5ビットで区別でき、ひらがなは6ビットで区別できます。カタカナを含めると7ビットも必要となります。実際の日本語コードはさらに、濁点や小文字なども含みますので8ビット(256通り)で表現しています。英語コードでは、大文字の他に、小文字や数字などを含め、7ビット(128通り)で表現されています。

☆つまり、8ビットパソコンから、16ビットパソコンに進化するということは、2倍の進化ではなく、2乗の進化であり、基本性能が桁違いにすごい!!ということです。また、32ビットパソコンとなると、4294967296通りの基本命令が理解ができ、64ビットでは・・・、後はご自分で計算して下さい。(笑)

OS(オペレーティング・システム)でも、16ビットOS(MS−DOS、Windows3.1等)や、32ビットOS(Windows2000等)などがありますが、基本的な意味はこれまで説明した通りです。

Windows95/98は16ビットと32ビットを両方が扱えます。だからすごいのか・・・?というと、そうとは言い切れず、互換性の点で便利ではあるが、システム等のトラブルの原因となる場合もあります。


FATと容量
(マザーボード)
(CPU)
(メモリ)
★パソコンを使うためには、ディスプレイ、マザーボード(CPUやメモリ、ハードディスクなどを取り付ける基本プリント基板)、CPU(中央演算処理装置)、メモリ(記憶装置)、ハードディスク、キーボード、OSなどが必要です。

☆そして、OSをハードディスクにインストールしなければ、パソコンは使えませんが、その前に、ハードディスクの「フォーマート」が必要です。その「フォーマット」の1つの種類が「FAT](ファット)です。Windows95/98の場合、「FAT16」と「FAT32」が選べますが、その違いとは・・・?

「フォーマット」とは、「無地の用紙に文章を書きやすくするために罫線を引く」、という様なことを、ハードディスクに対しても行うことで、「書き込む文字や文章の種類によって罫線を引き分ける」ように、ハードディスクも使い方によって「フォーマット」の方法を変える必要があります。

☆ハードディスクをフォーマットすると、まず「トラック」(外周)を作成し、次に「セクタ」(領域)を作成します。これが物理フォーマットです。(「トラック」とは「横軸の罫線」で、「セクタ」とは「縦軸の罫線を引くことによってできたマス」だと考えてください。)この「セクタ」が、データを書き込む最小単位になります。

★次に、この「セクタをどうやって使って書き込むのか?」という、ルールをを決めます。これが、「理論フォーマット」です。

☆セクタのサイズはハードディスクの大きさに関係なく、一律「512バイト」と決まっていますが、これでは書き込むのに単位が細かすぎて効率が悪いので、いくつかのセクタを1つにまとめて、ファイル(データの集合体)を書き込みます。このファイルの書き込まれる最小単位が「クラスタ」(ファイル・アロケーション・ユニット)で、クラスタを管理するシステムが「FAT」(File Allocation Table)です。FATは、どのファイルが、どこに、どのように、書かれているのかを記録しています。

「FAT16」とは・・・
「16」とは、16ビットのことで、管理できるクラスタの数は2の16乗個=65536個です。FAT16では1クラスタ=32KB(キロバイト)と、決まっているので、
65536×32KB=2097152KB=2048MB=2GB
となり、FAT16でフォーマットできるのは、最大2GBまでということになります。

☆ここで、コンピュータの単位の追加説明をします。「1KB」=1キロバイトですが、正確には「1ケーバイト」です。「K=キロ」とは数学的には「1000倍」を意味しますが、コンピュータの世界では「1024倍」なのです。
「1024=2の10乗」という意味です。
ですから、2GB(ギガバイト)は1024倍して2024MB(メガバイト)、さらに1024倍して、2097152KBとなります。バイトで示すにはさらに、1024倍して下さい。同様にM(メガ)=100万倍、G(ギガ)=10億倍、T(テラ)=1兆倍も、数学の意味とは異なります。すべて1024倍が基本になっています。

「FAT32」とは・・・
32ビットのフォーマットですから、2の32乗個=4294967296個のクラスタ管理ができます。FAT32では1クラスタ=4KBですから、
2の32乗×4÷1024÷1024÷1024=16TB
となり、理論的には16TBまでのハードディスクがフォーマットできることになりますが、実際には2TB(2048GB)までしか管理できないことになっています。(そんな大きいハードディスクはありませんけど・・・)

FAT32の最大のメリットは、ハードディスクを大きくフォーマットできることよりも、1クラスタのサイズが小さい事にあります。たった1KBのファイルでもFAT16では、32KBの容量を必要としますので、31KBが無駄になります。FAT32では3KBの無駄ですみます。極端な話、FAT16では1KBのファイルを約6万5千個記録したら、実際のサイズは約64MBに満たないにもかかわらず、「2GBのハードディスクがいっぱいになってしまう」ということになります。

FAT32のデメリットとして、FAT16との互換性がないので、メインドライブがFAT16の場合、MS−DOSの起動ディスクで起動すると(Windowsでは問題ありませんが)、他の「FAT32のドライブが見えない」という事態になります。しかし、一般ユーザがMS−DOSでメイン(Windows)以外のドライブを操作する機会は皆無でしょう。また、FAT32をサポートしていないディスクツールを使うことはできませんが、MS−DOSやWindows3.1の古いツールをWindows95/98で使う機会があるのか?といえば、これも一般ユーザには縁の無い話で、まして、アプリケーション・ソフトに関しては「FAT32には対応していません」などの注意書きは見る機会がないように、専門書などに念のために書かれた、「FAT16の方が安全です」という文章も、Windows95(4.00.950B)以降のユーザには、ほとんど縁のない話です。

☆ですから、Windows98の再インストールで、OSを入れ直す場合などは、FAT32の方がメリットは大きいでしょう。ただし、Windows98のツールにある「ドライブ・コンバータ(FAT32)」を使う場合は、システムを保持したままのFATの変換を行うので細心の注意がひつよです。停電、フリーズ(特にクラスタにエラーがある場合はフリーズしやすい)などで変換処理が完了できなかった場合は、ハードディスクが損傷し、、再起動してもWindowsが起動しない危険性がかなり高くなります。


4.あとがき
お役にたったでしょうか?
進化し続け、扱いやすくなった現在のパソコンを私たちは利用していますが、日常使っている用語の中には、実はその意味を理解できてきない用語が意外に多いかもしれません。
「こんな基礎用語を解説して欲しい」というご希望があれば、お便り下さい。「基礎の基礎」に適すると判断した場合、解説を追加いたします。また、ご意見もお待ちしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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